携帯電話メーカーの行方

今日の日経に、独シーメンスの携帯電話事業を中国の携帯電話大手企業「波導」(バード、浙江省)に売却するというニュースがでていた。

記事には、仏アルカテルの携帯事業もTCL集団(広東省)が事実上買収するという記述もある。また、波導の昨年の販売台数は 1200 万台とも記されている。次の記事を見ていただくと 2004 年の日系メーカーの携帯電話販売台数が記されているが、1 位の NEC で405 万台、2 位のパナソニックモバイルが 373 万台なの、年間で 3 倍以上の台数を販売している勘定になる。

このニュースと、先日発表された米携帯電話 3 位の Sprint が米携帯電話 5 位の Nextel を吸収合併するというニュースとあわせて考えてみる。

Sprint による Nextel の買収は、3G インフラに対する投資の増大と利益率の減少による規模追求の傾向が影響していると言われている。これは Sprint + Nextel だけではなく、Cingular + AT&T Wireless の買収の原因でもある。

3G の普及はキャリアインフラだけではなく、端末メーカーに対しても研究開発&製造コストへの影響がある。同様の傾向は、先日の IBM の PC 事業の中国聯想集団(Levono)への売却にも見られており、PC や携帯電話のような規模追及&低利益率の事業については、人件費が低くスケールメリットを追求しやすい中国企業への売却というのが最近の流行なのかもしれない。

さて一方で、日本の携帯電話メーカーは今後どのように展開していくのだろうか?日本の携帯電話メーカーは、一部を除いて、特有のビジネス構造(潤沢な研究開発支援を元手に高機能&高価格の端末を開発し、通信事業者が買い取る)を持つ国内の通信事業者を相手にビジネスを展開しており、おいそれと事業売却しにくい構造にある。

このビジネス構造がいつまでも続くかと言うと、おそらくそういうわけではないと思われる。というのは、一つには国内の携帯電話普及率が飽和状態にあること(=新規加入が見込めない→端末メーカーの出荷台数減→収益へ影響)。そしてもう一つは 2006 年をメドに開始されると言われている MNP (Mobile Number Portability) のインパクト(=携帯電話事業者の設備コスト増→収益の圧迫)である。MNP へ対応するための設備コスト増大が、米国携帯電話キャリアの寡占化の一因となっていると言われている。さらには、スケールメリットを追求する外資系の端末 (NokiaMotorola、Samsong) メーカーの端末の採用が開始されている点である。

さて、日本の携帯電話メーカーは今後どのように対策を施すのだろうか?そして、このような環境下で携帯電話事業に参入しようとしているソフトバンクイーアクセスはどのように振舞うのだろうか?