日本企業の無駄

昨年末まで CNET Japan でブログを書かれていた梅田望夫さんの新しい(?)ブログのエントリ「CNET Japan連載を終えての感想」に日本企業で働く人々が書かれている。

http://d.hatena.ne.jp/umedamochio/20050105

いま日本のIT企業人は、グローバル競争におけるサバイバルを、共同体を維持・発展しつつ行わなければならないという矛盾の中でもがいている。その矛盾が露呈しないのは「良質の日本企業人」による過労働が支えているからだ。むろんそういうことも含めた全体を批判するのはたやすい。しかしわかりやすい代案なんてないのだ。ことに共同体の成員という立場での選択肢はそう多くない。自然と過労働に向かっていく。

自分自身が良質な企業人であるかはさておき、日本企業に属している身で大きくうなづけるのは、「わかりやすい代案はない」という点である。共同体を破壊してしまえばいい、と声高に叫ぶのは、これまでの日本企業の強みが共同体にあったことを忘れた安直な批判だと、組織内部にいる身としては思う。共同体を構成する人々の考え方や振る舞いは急激に変化することはない。となると、ラディカルさに解決口を求めるのではなく、洗練された手口を追及するしかないように感じる。

まぁとにかく、彼ら彼女らは忙しい。無駄な会議、無駄な書類、無駄な・・・、無駄の数々。貴重な時間は飛ぶように過ぎていく。そういう無駄を批判することもたやすいが、文句ばっかり言って何もしないということのできない性分の人たちは、無駄の山を踏み越え踏み越え、プライベートの時間に食い込んでも仕事を続ける。そういう人たちが、一日何時間もかけてネット全体をぶらぶらして、世界で何が起きようとしているかを勉強したり考えたりすることなんてできない。

過労働以外でいろいろなことを実現したいと思っても、現実はご指摘の通りである。となると、身代わり(?)に「一日何時間もかけてネット全体をぶらぶらして、世界で何が起きようとしているかを勉強したり考えたり」していただいている方々には深ーく感謝しなくちゃと思うのである。