『今週、妻が浮気します』を読んだ。

「まとまった時間が取れないので……」などといいつつも、酔っ払った頭でざーっと読んでみた。感想は?というと、今ひとつピンとこなかった。内容とか結末に対してではなく、ストーリーの骨格や当事者がおかれた立場や状況に対してである。

電車男」(のログ)を読んでるときに感じていたのは、ストーリーの流れ方がインドの打楽器中心の音楽のように主人公と毒男たちが奏でるポリリズム/ポリメロディックさを醸し出しつつも、それぞれのストーリーが完全に収束しきっていないところに惹きつけられた。

それに対し、この「今週、妻が浮気します」は、結局は、ありきたりなソープオペラ的予定調和じゃん、としか言いようがないことに拍子抜けしてしまう。それぞれがノンフィクションである(可能性が高い)という事実を知りながらも、フィクションなものとして読んでみての両者のテクストへの感想なのかもしれないけれど、それでも……

思うのは、もしかすると、読み手にとっては自分の配偶者と子供がいないと、この「今週、妻が浮気します」のコア部分の機微はわからないのかも知れない。そうすると「電車男」のメインテーマである恋心のほうが、よりいろんな人に染みとおる汎用性の高いテーマなのではないかと。そういう点でピンと来なかったのかも知れない。