WaveLAN → Orinoco → ??

ワイヤレスネットワーク分野では老舗の Proxim が Chapter 11 を申請し、倒産した。

Proxim 倒産、Moseley に対しほぼ全資産の売却へ
http://japan.internet.com/allnet/20050614/12.html

ワイヤレスネットワーク機器の Proxim (NASDAQ:PROX) は11日、ワイヤレス ソリューションの Moseley Associates に2100万ドルで「ほぼ全資産を売却」し、完全子会社となることで両社合意に達したと発表した。昨年9月に Symbol Technologies との特許訴訟で和解して支払うことになった、総額2275万ドルの和解金が大きく響いた。

両社の発表によると、Moseley は「Proxim が行なっているほぼ全ての事業を継続する」予定という。Moseley はこの買収により、200MHz から38GHz の無線周波数帯域で動作するワイヤレス製品群を獲得することになる。

Proxim といえば、802.11b 無線 LAN の古いブランドである Orinoco ブランドを提供していた会社。Orinoco 製品は富士通OEM していたり、今は知らないがデルの標準無線 LAN カードだったこともある。Linux などでも、最初に出てきたドライバは Orinoco のものだったりした。で、その Proxim は上記の記事詳細にもあるが、2002 年に Agere Systems から Wi-Fi 製品ラインアップである "Orinoco" を買収している。

その Agere Systems は 2000 年に Lucent Technologies からスピンアウトされた企業。基本的には半導体企業だが、802.11 チップビジネスとともに "Orinoco" Wi-Fi 製品ラインアップもスピンアウトされた。Proxim が買収したのは "Orinoco" ラインアップであるため、Wi-Fi チップビジネスはまだ Agere Systems が続けている(と思う)。

で、その Lucent Technologies は元々は AT&T の機器製造部門で、1996 年に NCR と相次いで AT&T からスピンアウトされた企業。Lucent の Wi-Fi 製品ラインアップは最初 "WaveLAN" と呼ばれていたが、確か 1999 年頃に "Orinoco" という名前に変わった(はず)。

Lucent がらみの年表はここ↓を参考にした。

LucentNameConfusion
http://wiki.personaltelco.net/index.cgi/LucentNameConfusion

で、この "WaveLAN" は AT&T だか、「旧」NCR (AT&T に買収される前の NCR という意味)だかに買収された企業。そのころから無線ネットワークに携わっているわけだから、超老舗といっていいのだろう。

というわけで、15 年かけて、WaveLAN/Orinoco プロダクトは

WaveLAN → AT&T / NCR ? → Lucent → Agere → Proxim → Moseley

という変遷を経てきた。ずっとこのプロダクトのために働いている人がいたとしたら、ちょっと感動だ。



ちなみに、Proxim は、今は影も形もない HomeRF という家庭用無線ネットワーキング規格を推進していた企業のうちの一つ。

HomeRF ワーキンググループついに解散
http://japan.internet.com/allnet/20030109/12.html

一時はワイヤレスネットワーキングの主役企業だった Proxim をなにがここまで追いやったのかが、すこし気になる。コアコンピタンスがなになのか、よくわからなくなってしまったのかね。