展示会で感じた学習曲線

ここのところ、Security Solution 2004@東京ビックサイトの準備とかで(「とか」のほうが多かったんだけれど……)、ばたばたしている日々が続いたのですが、Security Solution 2004@東京ビックサイトは、ようやく、今日終わりました(打ち上げも終わったし)。イベントとしてみると、まあ及第点という感じです。思うところはいろいろあるんですが、一番気になったコトは、(他の誰かにとって)新しいことをいかに手早く理解して、必要としている人たちにわかりやすい形で提示し、利益につなげていくかというコト。

そういうことを考えるにあたって、有効な視座足り得る事柄が CNET 渡辺氏の blog ( http://blog.japan.cnet.com/watanabe/archives/001762.html )に記されています。議論の出発点は氏の blog に譲りますが、それを前提として話を進めたとして、もうすこし現場に近いところでもうすこし展開してみましょう。

IT 業界の特性として、ユーザにとって有効、かつ新しい(←ここに比較的力点が置かれるケースが多い)「ソリューション」を提示&提供し続けなければいけない、という点が挙げられます。が、しかし、これを満たすセールスマーケティングを十分に実現するためには、自組織が内在的に有するラーニングカーブをうまくつかんでおく必要があります(じゃないと、現実と乖離したマーケティング戦略を勝手にというか、身勝手に進めてしまう可能性がある)。

この点を考えるにあたって有効であると思われるのがキャズム論です。詳細は関係する書籍をあたってもらえればいいでしょう。この論はエンドユーザがいかに新しいものを受容するかを、モデルとして理解するのに非常に有効であるというのはいうまでもないことですが、応用的に考えると、セールスチームがいかに新しいものを受容し、それぞれのセールス戦術の中で有効に展開していくかという点においても有用な考え方であるような気がします(すべてのセールスチームが新しい概念・パラダイムを自由に、柔軟に語りきれるわけではない)。

そう考えると、ラーニングカーブを超えるようなことを、一般に目に付く形で提示しても、それは技術者の戯れというか、有効性のないおもちゃにしか過ぎない可能があるでしょうし、また、利用者にとって有効と感じられないモノに過ぎないのだろうという気がします。そして、更に重要なことは、実際の利用者と語り手の間のラーニングカーブに大きなギャップがあった場合には結構つらい構図が展開される可能性があることは想像に難くないわけです。

なんてことを、実際の利用者にむかって語りかける場所にいて、ふと思ったわけです。こういうことに気づいた後に、いかに次の手を打てるかが実務に携わる者の辛さであり、醍醐味ですね。