インテグレータはサービス産業なのか、それともテクノロジー産業なのか?

最近株式会社化した GREE の田中良和さんが、しばらく前のブログで「ネット産業は、サービス産業かテクノロジー産業か?」ということを書いていました。

http://www.tanakayoshikazu.com/archives/000076.html

結論としては、

・ネット産業はサービス産業化しやすく、日本発のサービス産業はグローバル化しにくいというロジックと、グローバル化しないとテクノロジー産業化しにくいというロジックが絡み合っている
・日本の企業がグローバル展開できるのは、物理的製品の製造販売がメインで、サービス産業のグローバル化は得意分野ではない

ということなんですが、そこに至るまでには、次のようなことにも触れています。

日本にはテクノロジーな企業がぱっと思い浮かばないぐらい少ないのですが、僕が思うにこれはシンプルな問題で、(楽天しかり)「生活密着型サービス産業」のほうが儲かるから、ということだと思います。

日本のネット企業は、グローバル展開しない前提な時点で、基本的にサービス産業化していて、「日立、東芝富士通NECソニー、松下」とは、まったく異質な系譜で存在して、グローバルなビジネスの系譜とは違う流れなわけです。

また、いわゆる総合家電メーカーなどは、物理的プロダクトをグローバル展開はできますが、サービス産業的部分も持ち合わせているのが逆にネックで、これまたうまくいかないと。

で、身近なところに引き寄せて、同様な問いについて考えてみました。つまり、「インテグレータはサービス産業なのか、それともテクノロジー産業なのか?」ということです。

まず、インテグレータというのはなんだろうと考えてみましょう。まず、インテグレータというのは、IBM、DEC、IntelMicrosoftApple、Sun、Cisco のようなメーカーとは違っています。もちろん、NEC富士通、日立、東芝ソニー、松下等の国産のコンピュータメーカーとも違っています(これらの企業グループ内にインテグレータ的な役割を担っている部分はありますが、グループの中核をなす企業はいわゆる製造業なわけです)。これらのメーカー企業は、大雑把に言うと、プロダクトそのものの価値を提供することに重心を置いています。莫大な資本を研究・調査または生産ラインに投下し、結果として生産される製品を提供(=販売)することで利益を上げるということです(日米でメーカーの成り立ちは異なるが、そこについてはこちら↓でさっくりとした議論が展開されています。また、上記の田中良和さんのブログでも取り上げられています)。

http://blog.japan.cnet.com/umeda/archives/001675.html

一方、インテグレータというのは、こうしたメーカー、それも複数のメーカーから提供される複数のプロダクトを、まとめて一つのもの(=ソリューションと呼ばれることが多い)として提供することで、ユーザの課題解決を手伝うのが、主な存在意義といえます。これは、単一メーカー、単一プロダクトでは課題解決が出来ないというニッチを狙った企業形態と捕らえることもできます。このため、インテグレータが提供する価値は、プロダクトそのものではなく、複数のプロダクトをうまく一つに組み合わせる能力にあることが多いわけです。

で、問題解決、それも提供者側ではなく、被提供者側の視点から見ると、テクノロジー的なアプローチとサービス的なアプローチのどちらがより効果的、効率的な問題解決手段であるかという点について考えようと思ったのですが、そこに行く前に全体を通じてもうちょっと精緻に考えたほうがよさそうなので、続きはまた今度、ということで。