AT&T は高いのか、安いのか?
CNET Japan 他、いろんなところで報道されていますが、SBC が AT&T を買収しました。
- 「SBC、AT&Tを160億ドルで買収へ--米通信業界再編さらに加速」
- http://japan.cnet.com/news/biz/story/0,2000050156,20080387,00.htm
合併そのものについては、先日のエントリのとおりであるが、少々気になっているのが、Verizon でもなく、Bell South でもなく、なぜ SBC が買収したかという点。CNET の記事にはこんなくだりがある。
電話会社各社は、電話サービスの主要提供元としての役割を脅かしつつあったケーブルテレビ会社やIP電話会社と縄張り争いを繰り広げていた。同じ理由から、電話会社各社はワイヤレス通信市場への参入を検討したり、高速インターネット回線を提供するなど、市場を拡大するための方法を模索してきていた。
長距離系通信事業者としては、確かに AT&T は買いやすいのだが (いずれもちゃんと調べていないが、MCI は再建中で負債が大きいだろうし、Sprint は携帯電話事業で収益が上がっているだろうから)、なぜ、SBC は AT&T が欲しかったのだろうか?AT&T はワイヤレス通信事業もないし、高速インターネット回線を提供してもいない。
うーん。単純にスケールメリットの追求なのか?
ところで。AT&T の買収金額ですが、上記見出しにあるように 160 億ドルです。最近、話題の「マイクロソフトを買収しよう。」ブログによると、マイクロソフトを買収するために必要な金額は次の通り。
米国 1月28日の終値で、26.18ドル/株、時価総額は284.62Bドル。
1ドル=110円とすると、だいたい日本円で31兆円ぐらい。
(週末でマーケット閉まったままだから、当然これらの数字は変わらず。)
プレミア50%強つけて買うとすると、必要な資金は約47兆円。
ドルのまま計算すると、プレミア 50% とみて 4269.3 億ドル。AT&T の 26.7 倍……
マイクロソフトが高いのか、AT&T が安いのかが判らなくなってきたので、他の買収の例をいくつか調べてみると、
$1=\110 として 31 億ドル。AT&T の5分の1。
- 「IBMのPC事業売却が正式決定--売却額は17.5億ドル」
- http://japan.cnet.com/news/biz/story/0,2000050156,20079163,00.htm
17.5 億ドルか…… 負債が沢山あるからといえ、安い。
譲渡額は 50 億円。$1=\110 とすると、4500 万ドル……
- 「オラクル、ピープルソフトの買収に成功--買収額は103億ドルに」
- http://japan.cnet.com/news/biz/story/0,2000050156,20079649,00.htm
- 「シマンテック、135億ドルでベリタスを買収へ」
- http://japan.cnet.com/news/biz/story/0,2000050156,20079742,00.htm
いずれも 100 億ドルを超えた、大型買収。それでも AT&T より小さい。
買収額は 250 億ドル。
結局、AT&T は SBC にとって高い買い物だったのか、それとも安い買い物となるのだろうか?