「海馬 脳は疲れない」池谷裕二・糸井重里
カレーチャーハンを食った後、日本橋で所用をすませ、自宅の近所の喫茶店でコーヒーを飲みながら、読みかけだった「海馬 脳は疲れない」を一気読み。
- 作者: 池谷裕二,糸井重里
- 出版社/メーカー: 朝日出版社
- 発売日: 2002/07/10
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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脳科学ではなく、その周辺とのかかわりで記されているものとして類似ではあるが、読んだあと考えさせられる養老孟司の唯脳論とは違って、読後に単純なポジティブさが沸いてくる本です。対談している両者が、話がわかりにくく、独断的にならないように、とても気を使いながら話を進めているのがよくわかる。
4つの章で構成されている本書は、それぞれの章の最後にまとめがついている。そのまとめから気になったものを抜粋すると次の通り。
- 30歳を過ぎてから頭はよくなる
- あらゆる発見やクリエイティブのもとである「あるものとあるものとのあいだにつながりを感じる能力」は30歳を超えたときから飛躍的に伸びる。
- 脳は疲れない
- 脳はいつでも元気いっぱいです。ぜんぜん疲れません。寝ている間も脳は動き続けます。一生使い続けても疲れません。「脳が疲れたなぁ」と思わず言いたくなる時でも、実際に疲れているのは「目」です。
- 旅は脳を鍛える
- 何もない環境にいたネズミを刺激的な環境に移すと数日で海馬が増えます。逆に刺激のある環境から何もないところに移すと、ネズミの海馬は数日でだめになります。海馬にとって一番刺激のあるものは空間の情報です。つまり、旅をするほど海馬に刺激が与えられると推測できます。
- 脳に逆らうことが、クリエイティブ
- 刺激を求めているけれど、同時にいつでも安定した見方をしたがるのが、脳です。創造的なことをしたいと思っている人は、画一的な見方をしたがる脳に対して、挑戦していかなければなりません。
- やりはじめないと、やる気は出ない
- 受け手がコミュニケーションを磨く
- 神経細胞のつながる鍵を握っているのは受け手(の細胞)です。脳細胞がそうであるようにわたしたちの日常でも、「受け手としての磨かれ方」が、コミュニケーションにおいてとても重要かもしれません。
- センスは学べる
- 人間の認識は感性も含めて記憶の組み合わせでできています。ですから、創造性も記憶力から来ると言うことができます。新しい認識を受け入れてネットワークを綿密にしていくことが、クリエイティブな仕事というものに近づいていくヒントになるのです。一つ認識のパターンが増えると、組み合わせの増え方は、統計学的に莫大な数になります。
糸井重里の著書特有の平易な表現なので、上記のまとめの抜粋にいささか教訓めいた響きを感じないわけでもないが、実際に対談を読んでみると、そんなに教訓めいたものでもない。休日にのんびり読む本としては、ちょうどよかったかと。