Appleはどこに行こうとしているのか - ET 研

よく晴れた日曜の午前、Emerging Technology 研究会に行ってきた。今回のお題は Apple Computer。

11月開催:Appleはどこに行こうとしているのか
http://sw.cocolog-nifty.com/et/2005/10/11apple_ef5a.html

議論において、どの軸で評価するかをわかり易くするために、比較対象に取り上げられたプレーヤー群の例はこんな感じ。

こうしてみると、Apple の舵取りってずいぶん大変だ。だからこそ、こういう風にテーマとして取り上げられるのだろうけれど、同じ規模の企業の中では難しい部類の環境にあるほうなのでは、と感覚的に思う。

それぞれの軸に沿って、時には深く、時にはあっさりと言及されただけで終わったりしながら、行きつ戻りつと議論が進んだのだけれど、その話を聞きながら考えていたのは、やっぱり Apple のコアにあるのは、広い意味でのデザインというか、パッケージングという部分であるということ。

今日の話の中では、ユーザ・インタフェイスという風にも言及されてましたが、物欲を掻き立てるインダストリアルなデザイン要素から、ソフトウェア的な部分でのユーザインタフェイスから各種コンポーネント間でのシームレスなユーザエクスペリエンスの設計までを含めた総合的なパッケージングが肝であり、そこが上記の軸に出てくるほかのプレーヤーにくらべて Apple が勝っているところなのだろう、と。そして、それゆえに限定されたターゲットを狙った現時点のポジションから一歩進めて、ソニーパナソニック的に汎用的なセグメントまで取り込んでいくのはつらいじゃなかろうか、という気がする。

あと、議論の途中でワイヤレスに関して予想通りに話を振られて、別のことを考えてたので話せなかったのですが、iPod にワイヤレスコネクティビティをもたせるのは、そんなに簡単なことではないような気がします。

根拠の一つ目はユーザインタフェイス。PC / Mac との USB / Firewire 接続のかわりに WiFi をつかうのか、それとも iPod から直接インターネットに接続させるかでユーザインタフェイスがぶれるはず。一歩間違うと iTunesiPod への搭載が必要にあるかもしれない。

二つ目は、どの接続方式を採用するかという点。WiFi は一番簡単ですが(安いし、消費電力もずいぶん小さくなったし)、既存の USB の置き換えなら Wireless USB を待っても良いかもしれない。一方で、Mobile WiMAX はまともに使えるようになるのは早くて 2007 年後半で、おまけにアジア(含む日本)が先導的市場となり、その市場の重要度は Apple は高くないわけだから、Mobile WiMAX に関しては可能性はかなり低いはずという風に読める。

で、最後の根拠は、携帯電話に iPod の機能を搭載するという選択肢(とその影響)。いまのところモトローラと組んで米国市場(Cingular)向けに iPod 機能を搭載したモデルを提供しているが、そこでの経験を元にして、欧州または日本にも展開してくると、iPod そのものにワイヤレスコネクティビティをもたせなくても良くなるはず。そういう意味ではモトローラiPod モデルの動向はちゃんと見ておく必要があるかもしれない。

研究会後の懇親会でも話題にしたのですが、個人的には、Apple に対してはこういう風な戦略を難しく考えてなくて、なにか良くわからないけれど、かっちょよくって物欲を刺激しまくるガジェットをぽーんと出してくれるほうが、楽しくて好きです。