ザーンセ・スカンスとインドネシア料理

昨日一日アムステルダムの街中をうろうろして、比較的(良い意味でも悪い意味でも)ごみごみした街であるということがわかってきた。もちろん次のようにずいぶんと小奇麗なところもある。

オランダ王宮

王宮がこれだけ街中で近くに感じられるのは珍しいのではないだろうか。

運河

運河が街の風景に溶け込んでいるのは、堤防がなくて水辺へのアクセスが近いからだろう。台風がやってくる国ではちょっと望めそうもない風景である。

アムステルダムの街並み

でも、やはり中央駅周辺をうろうろしたせいかなんだか雑然とした印象が強い。というわけで(?)ごみごみした街並みを抜け出し、オランダらしい風景を求めてザーンセ・スカンスという街に行く。

アムステルダムからザーンセ・スカンスには、15 分でいけるはずなのだが、実際には乗る電車の種類を間違えて 1 時間以上ロスすることに……どう間違えたかというと、アムステルダムから各駅停車に乗っていくはずがなぜか快速列車に乗っていて、おまけにその快速列車の終点に近づくまで間違いに気づかなかったのである。というわけで戻りの快速電車に乗り換えて、途中の駅で各駅停車に乗り換えてようやくザーンセ・スカンス最寄の駅、コーフ・ザーンデイク駅に到着。

このミスは、ガイドブックが悪い。ザーンセ・スカンス最寄の駅、コーフ・ザーンデイク駅に行くには「アルクマール行きの各駅停車で約 15 分」と載っているのだが、実際には各駅停車のアルクマール行きは一時間に 1 本しかなく、残りの 3 本は途中の駅( U から始まる名前の駅だが、名前を忘れた……)が終着駅になっている。これに対して、アルクマール行きの快速列車は一時間に 2 本あるので、今回のように間違えて快速に乗ってしまうわけである。まったく。

それでも、今回のようにアムステルダムブリュッセルをメインに旅行する場合には便利なガイドブックなので一応紹介。

さて、いろいろ無駄な動きをした挙句にたどり着いたザーンセ・スカンス。こんな風景である。

ザーンセ・スカンスの風車

ザーンセ・スカンスの風景(風車なし)

いかにもオランダ!という雰囲気満点である。念のためにいっておくと、写っているのは湖面でも海面でもなくて運河である。このザーンセ・スカンスにはアムステルダムから各駅停車で 15 分で行けるのだから、観光客がこないはずない。というわけで、自分のことをいったん棚にあげておくが、このくそ寒いのにそれなりの人数の観光客がいるのである。

ザーンセ・スカンスの風景

この写真に写っている観光客は少ないほうで、このチーズ屋↓に観光バスでやってきた(ような)中国人の団体が大挙して押しかけていた。

ザーンセ・スカンスのチーズ屋

写ってない人たちをあわせると総勢 40 人ばかりいたんじゃないだろうか。で、けっこうな勢いでサンプルのチーズを食べまくってたおかげか、僕らがサンプルを食べようとしたころには、いくつかのチーズのサンプルが空っぽうになっていた。おかげで新しく切ってもらったサンプルをいただけてそれはそれでよかったのだが。でも、何人かの人(特に女性)は、チーズを 10 コとか 20 コとかでまとめ買いしていたので、チーズ屋としては良いビジネスになっているのかもしれない。

ザーンセ・スカンスのチーズ屋

風車があるあたりから何もない方角をみたのが次の写真だが、こうしてみるとザーンセ・スカンスというのは寒々しい感じがする土地である。

ザーンセ・スカンスで何も無い方角を見ると……

また、建物や集落のあるなしを別にすると、列車に乗っていてもオランダの大部分ではこういう平坦な視界が 360 度にわたって広がっている。ゼロメートル地帯代表の江東区に住んでて言うのもなんだけれど、国土の多くが海面と変わらない高度であるというのはどういう気分なのだろう?

しばらく寒々しいザーンセ・スカンスをぶらついた後、今度は間違えることなくさっくりと各駅停車に乗ってアムステルダムに戻る。そして、中央駅からトラムに乗って「ハイネケンエクスペリエンス」というオランダを代表するビールメーカーが運営するテーマパーク的なショウルームに向かう。

Heineken Experience
http://www.heinekenexperience.com/

10 ユーロ払うと、生ビール試飲用チップを 3 枚とおみやげ用のチップを 1 枚もらえる。展示の前半は博物館的な仕立てになっており、お決まりのハイネケンの歴史やビールの作り方等が展示されている。途中から後半にかけてテーマパークっぽいというか、ちょっとばかばかしいところが面白い乗り物に乗れるので、淡々と展示を見るだけでなくて飽きずにすむ。

展示の途中で試飲コーナーが一箇所( 1 杯分)あり、あと出口直前でもう一箇所(試飲 2 杯分)で試飲することができる。普段飲む(缶や瓶の)ハイネケンは、悪く言うつもりは無いけど、なんの変哲も無い中庸で普通のビールなのだが(世界中どこででも飲める中庸なビールという意味ではもちろんとてもすごいことだ)、ここで飲んだ生ハイネケンには中庸な普通のハイネケンを超えた甘みと旨みが感じられて、それだけでもここに来て 10 ユーロも払った価値があるような気がする。とてもおいしかった。

ハイネケン・エクスペリエンス

おみやげにはハイネケンエクスペリエンスマークつきのこの↑ハイネケンビールグラスを1ついただきました。もちろん飲んでつかったやつではなくて、ハイネケン印の缶入りの新品です。

試飲といいながらも、ツマミもなしにそこそこの大きさのグラスで 3 杯もビールを飲んでると多少酔いも回ってきたし、腹も多少減ってきたので夕食に向かうことにする。今日の夕食は、過去にオランダの植民地であったインドネシア料理。オランダでしか食べられないインドネシア料理もあるということも決め手の一つである。

Puri Mas
http://www.purimas.nl/

いろいろな種類の食べ物が食べられるということで、「ライスターフェル」というコースで注文することにする。ビールはもちろんハイネケン

ハイネケン

ハイネケンを頼んだのだが、どうもハイネケン・エクスペリエンスと微妙に違うような気がする。あそこでは特別の生ハイネケンを出しているのだろうかと思いつつも、まあうまいのでよしとする。

「ライスターフェル」のコースとしては、最初にスープが出てくる。

ショウガ風味のスープ

ココナッツミルクが使われているショウガ風味のスープで、こういう寒い日には温まる。似たようなスープはインドネシアというよりもタイ料理に出てきそうな雰囲気である。

インドネシアンコース料理

インドネシアンコース料理

「ライスターフェル」は実際にはコース料理ではないようで、それぞれの料理が一品ずつでてくるのではなく、まとめて同時に出てくる。サテーアヤムもあるし、鶏肉や牛肉を甘辛く炒め煮にしたものもある。オランダでしか食べられないインドネシア料理といわれればそうかも知れないし、インドネシアでも食べれそうな気もしないでもない。しかし、インドネシアに行ったのもかれこれ 10 年近く前の話なので、事の真偽はわからず、久しぶりにアジアな味なので美味しくいただいた。

これまでのドイツ、オランダでの食事でうっすらと感じていたが、このインドネシア料理を食べながらわりとはっきりしたことは、ヨーロッパの料理には発酵して作られた調味料が少ないために味付けを塩に頼りがちで、ともすれば一本調子な味付けになりがちではないかということ。単純に醤油とか味噌とか(ニョクマムとか魚醤とかナンプラーとか)ってすごいんだなぁ、と思い、これだけ塩に頼りがちな食文化であるが故に醤油の紹介はインパクトが大きかったのではと、ハイネケンで酔った頭で考えながらトラムに乗ってクラウン・プラザ・ホテルに帰ったのであった。