失敗の本質
今日はちょっとした記念日だったので、良質で心に残る日本料理をいただいて帰宅し、iPod の Jazz シャッフルを BGM にしながらビールを飲みながら、ふと次の本を手に取りました。その昔読んだのですが、『失敗の本質』という日本軍の組織論的な研究です。
- 作者: 戸部良一,寺本義也,鎌田伸一,杉之尾孝生,村井友秀,野中郁次郎
- 出版社/メーカー: 中央公論社
- 発売日: 1991/08/01
- メディア: 文庫
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この文庫本の詳細は amazon ででも調べてもらったらよろしいかと思いますが、裏表紙には次のように書かれています。概略をつかむのには参考になるかもしれません。
大東亜戦争における諸作戦の失敗を、組織としての日本軍の失敗ととらえ直し、これを現代の組織一般にとっての教訓あるいは反面教師として活用することをねらいとした本書は、学際的な共同作業による、戦史の初の社会科学的分析である。
で、なぜ、ここに取り上げてみようかと思ったかというと、過去に読んだときに自分で印をつけたくだりのいくつかが目に入って、ちょっとドキッとしたから。引用すると、次の通り。
いかなる軍事上の作戦においても、そこには明確な戦略ないし作戦目的が存在しなければならない。目的のあいまいな作戦は、必ず失敗する。
日本軍は、初めにグランド・デザインや原理があったというよりは、現実から出発し状況ごとにときには場当たり的に対応し、それらの結果を積み上げていく思考方法が得意であった。
(日本軍には)事実を正確かつ冷静に直視するしつけをもたないために、フィクションの世界に身を置いたり、本質にかかわりない細かな庶務的な仕事に没頭するということが頻繁に起こった。
進化のためには、さまざまな変異(バリエーション)が意識的に発生され、そのなかから有効な変異のみが生き残る形で淘汰が行われて、それが保持されるという進化のサイクルが機能していなければならない。
日本軍の最大の失敗の本質は、特定の戦略原型に徹底的に適応しすぎて学習棄却ができず自己革新能力を失ってしまった、ということであった。
もともとは 1984 年、つまりバブル前に出版された、ずいぶん古い本なのですが、いまでも参考になるところが多いように思えます。