どぜう@深川

金曜の夜。会社の同僚と深川にあるどぜう鍋屋『伊せ喜』に行ってきた。

http://www.dozeu-iseki.com/

訪れた5人は、どじょうを食すのが初めてまたは2回目という人ばかりで、期待と不安を胸に隠しながら店ののれんをくぐった。『伊せ喜』は大江戸線清澄白河駅から小名木川にかかる高橋(たかばし)を越えて3分ほどのところにある。間口はあまり広くないのだが、奥にずいっと広い日本家屋で情緒あふれる店内である。

どぜう鍋は「丸」か「ぬき」である。丸ごと食べるために、骨が軟らかくなるまでダシで何時間も煮込んでいるのが「丸」。刻んだネギを載せて、頭からいただくのである。丸のままでてくるので鍋をじっと見ると、箸を握る手も躊躇してしまうかも知れないが、無心で頭からいただくと、思いのほかクセがなくて美味い。

「丸」

一方の「ぬき」は身を裂いて骨を抜いてすき焼きにしたものである。ささがきにした牛蒡と焼豆腐と一緒に割り下で煮る。で、生玉子につけて食べると、割り下の甘辛さが中和されて、これも美味い。「丸」と「ぬき」を比べると、食べやすさでは「ぬき」だが、「丸」のほうがだしの香りがよい。要するに甲乙つけがたい。

この写真は、皿に並べられた「ぬき」用のどぜう、豆腐。どぜうの下に牛蒡が敷かれている。

「ぬき」

最初の乾杯はビール(キリン、アサヒ、サッポロ、エビスの中から選べる)で済ませて、すぐさま日本酒に移行。いただいたのは「菊正宗」。「十四代」や「醸し人九平次」の様な酒もいいですが、「菊正宗」はこういう江戸の老舗には一番似合っている銘柄。最初は常温でいただくが、次に燗をつけてもらう。

で、ひとしきりどぜう鍋を堪能した後、今度は鯰鍋をいただく。冬季限定だそうだ。

「なまず鍋」

なまずは身だけではなく、肝やらなんやらの「中身」も含まれていて、あとはネギと焼豆腐。これらの材料を割り下のような濃い目のダシで煮る。で、「ぬき」同様に生玉子に絡めていただく。なまずは見た目は赤身っぽく見えるが、味はむしろ白身っぽくてさっぱりした感じ。もちろん、クタッと煮込まれたネギとの相性も抜群である。

「なまず鍋」

この店、閉店が早くて午後8時20分がラストオーダー。〆て貰って、しばらく寛いでから、訪れる前の不安はどこへやら、酔いも手伝ってか満足感いっぱいになって店を出てきた。